現役最後の白色Hゴムを装備するDE10形(真岡鐵道 DE10 1535)

真岡鐵道は先月(1月20日)、「SLもおか号」の今年度の運転を中止することを発表しました。
SL列車の運転を陰で支えるディーゼル機関車 DE10 1535 の台車に不具合が確認されたためで、2026(令和8)年度に計画されている重要部検査に合わせて本格的な修繕が行われる予定です。
2026(令和8)年度は DE10 1535 の重要部検査だけでなく、C12 66 とオハ50系客車3両の全般検査(全検)も実施されるため、「SLもおか号」は2026年度末(2027年春)まで運休となります。
蒸気機関車はもちろん、DE10形もオハ50系客車も希少車となってしまったので、この機会にしっかりと補修されることを期待したいですね。
「SLもおか号」を支える名脇役の DE10 1535 ですが、実は白色(灰色)Hゴムを装備するDE10形で唯一の現役車両でもあります。
現在、DE10形はその数を急激に減らしています。
JR貨物所属車はすでに全車引退し、JR東海・JR四国でも全廃。現役で活躍を続けているのはJR旅客4社の20数両のみとなりました。
JR九州の車両も引退が近いと目されており、いよいよ現役機は20両を切ることになりそうです。
ということで、今回は昨年(2025年)の1月に撮影した真岡鐵道の DE10 1535 をアップしたいと思います。
前後の窓すべてに白色Hゴムが装備されているため、塗色だけでなく国鉄時代を彷彿とさせる何ともいえない雰囲気が特徴です。
DE10 1535(真岡鐵道) 2025年1月12日 下館駅
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いわゆる“Hゴム”とは、H形の断面を持つ押出ゴムのことです。
片側の溝にガラスの縁を挟み、もう一方の溝に車体の外板を差し込むことで、窓ガラスを固定・支持します。
1980年代初めごろまでは国鉄をはじめ多くの鉄道会社で白色(灰色)が採用されていましたが、1980年代中ごろからは耐久性の観点などから黒色のHゴムが主流となりました。
それ以前に製造された車両でも、特別保全工事や車体更新工事などの修繕工事の際に黒色へ交換されるのが当たり前となり、国鉄形車両であっても“黒色Hゴム”の姿が一般的となりました。

(SantopSeal サイトより引用)
2000年代以降、国鉄形車両や旧形車両がさよならイベントに合わせて登場時の塗装に復刻される例が増えましたが、その多くはHゴムが黒色のままでした。
これでは窓まわりが引き締まりすぎてしまい、国鉄時代のノスタルジーを感じるには“何かが足りない”という印象が拭えませんでした。
しかし、黒色Hゴムへの移行には致し方ない理由があります。
かつての白色(灰色)タイプのHゴムは、ゴム系のベース素材に着色顔料として酸化チタンの粉末が練り込まれていました。
酸化チタンは白色度を高める一方で、太陽光に含まれる紫外線を受けると周囲のゴム素材を分解・劣化させる“光触媒作用”を持っており、これがゴムの寿命を縮めていたのです。
そのため、耐候性・耐紫外線性に優れたカーボンブラックを用いた黒色Hゴムが実用面で選ばれるようになった、という経緯があります。
近年でも国鉄色リバイバル機で白色のHゴムが再現されている例もありますが、これらはゴムの表面に塗装を施しているのかもしれません。
こうした色の違いは、外観の印象に少なからず影響を与えます。
膨張色である白色は窓まわりを大きく、軽快に見せる効果があります。
対して収縮色である黒色は、窓の存在感を引き締め、車体全体に落ち着いた印象を与えます。
構造そのものは変わらなくても、Hゴムの色ひとつで車両の表情が大きく異なって見えるのは、実に興味深いものです。
真岡鐵道でSL列車の運転が始まった30年前とは環境が変わり、今やDE10形ディーゼル機関車そのものにも高い希少価値が生まれています。
2027(令和9)年春まで「SLもおか号」は長期運休となりますが、真岡鐵道には C12 66 だけでなく、このオリジナルのHゴムを維持するDE10形やオハ50系そのものにも、ぜひ新たな価値を見出してほしいと願っています。






















