形式写真のレンズとして富士フィルムのGF63mmを評価してみました(写真は御殿場線時代の313系2600番代)

前回お話ししたとおり、去年(2025年)12月に35mmフルサイズ一眼レフカメラ“Nikon D850”の後継として、ラージフォーマット・ミラーレス一眼カメラ“FUJIFILM GFX100S II”を導入しました。
現在、GFX100S II のGマウントには、複数の標準レンズがラインナップされています。
世間では最新の“GF55mm F1.7 R WR”の評価が高いようですが、35mm判換算44mm相当ではやや広角寄りの画角になってしまうため、私は35mm判換算で50mm相当の“GF63mm F2.8 R WR”も合わせて購入しました。
これまで愛用してきた“COSINA Carl Zeiss Milvus 1.4/50 ZF.2”の構図に慣れ親しんでいたのと、35mmフルサイズの交換レンズ並みに軽いのも魅力的でした。
しかし、このレンズが登場したのは、ラージフォーマット“GFXシリーズ”の第一世代が発売された2017(平成29)年。まだ、1億画素超のセンサーが登場する前の設計です。

キャッシュバック・キャンペーンの対象外だったこともあり、もし期待外れだった場合のリスクを考え、今回は状態のよい中古品で揃えることにしました。
実際に形式写真を撮影してみると、前回アップした“クハ312-8005”でご覧いただいたように、写真の四隅までキッチリと描き切る性能の高さには驚きました。
しかし、GFX100S II のオートフォーカス(AF)で形式写真を撮ると、わずかに“前ピン”になる傾向が…
被写界深度を稼ぐためにf13まで絞り込んでも、カメラから遠い車体端部のピントが甘くなってしまう。もしかしたら、回折現象で締まりがなくなったのかも知れません。
そこで、Milvus 50mm のときのように、意図的に“やや後ピン気味”になるようにマニュアルフォーカス(MF)でピントを固定してみました。
すると、センサーサイズが大きくなると被写界深度は浅くなるという光学的な常識に反し、D850時代とほぼ同じ絞り値(f11)でも、車体の前後を網羅するようにピントが合うようになったのです。
理屈の上では、ピント面から外れる車体の手前側や奥側には多少のボケが含まれているはず。
モハ313-2601(静シス) 2026年2月17日 沼津駅
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先週末のダイヤ改正で御殿場線から撤退した313系2600番代の中間電動車 モハ313-2601(静シス)を、たまたま Milvus 50mm と GF63mm の双方で撮っていたので等倍観察で比較してみましたが、被写界深度が狭いはずのラージフォーマットの GF63mm でも車体の前後が“ピントが合った状態”で描写されたのです。

Milvus 50mm と GF63mmで撮った等倍観察の比較例(モハ313-2601 の所属表記)

Milvus 50mm と GF63mmで撮った等倍観察の比較例(次位 クモハ313-2601 の所属表記)
この“粘り”の正体は何なのでしょうか?
レンズの専門家ではないので断定できませんが、GF63mm が持つ以下の2つの特性が有利に働いているのでは、と想像できます。
・圧倒的な像面平坦性
ピント面がカメラを起点に同心円状に歪む“像面湾曲”が極限まで抑えられ、文字通り“平面”として結像しているのでは?
・周辺部まで維持されるコントラスト性能
わずかにピントが外れた“微ボケ”の状態になっても、レンズ自体のコントラスト(MTF特性)が高いため、ディテールが崩れずに描写されたのでは?
コシナと富士フイルムが公開しているMTF特性曲線を見ても、その傾向は明らかです。

Milvus 1.4/50 と GF63mm F2.8 のMTF特性曲線
画像の“ヌケ”やコントラストを左右する 10本/mm の低周波ライン。
GF63mm は画面の端(曲線の右側)まで高い数値を維持しており、これが微細なボケの中にあっても被写体をくっきりと浮かび上がらせる力強さの根拠となっています。

Milvus 1.4/50 と GF63mm F2.8 のMTF特性曲線
細部の解像力を示す 40本/mm または 45本/mm の高周波ライン。
一般的に画面の端(曲線の右側)急落しますが、GF63mm は驚くほど粘っています。
この特性こそが、車体端部の標記まできれいに描き切っているのでしょう。
素人ができる考察はここまでですが、この2つの特性が相まったため、ラージフォーマットでも被写界深度以上に周辺まで描写できたのかも知れません。
たとえ設計が古くても、イメージサークルが大きい分だけ描写力に余裕が生まれた、というのもあるでしょう。
形式写真全体で実車の特徴を捉えるという点では、GFX100S II と GF63mm のMF撮影で間違いないようです。
今回は GF63mm の描写性について評価しましたが、次回は GF55mm を取り上げたいと思います。
* * *
“GF63mm F2.8 R WR”の評価だけでお終いにしてもよかったのですが、313系2600番代にはもう一形式、制御電動車(Mc3)のクモハ313形が存在しますので、今回は2枚目の形式写真としてペアを組む クモハ313-2601(静シス)をアップしたいと思います。
313系2600番代はこの3月のダイヤ改正まで御殿場線の非ワンマン列車で大活躍していましたが、来年(2027年)3月からの全列車ワンマン化に備えて315系に置き替えられてしまいました。
クモハ313-2601(静シス) 2026年2月17日 沼津駅
上の写真をクリックすると大きな写真が表示されます。
前述のように313系2600番代は、Ms車のクモハ313形とM車のモハ313形の2形式のみで、T’c車はクハ312形2300番代が連結されています。
313系2600番代 編成表
上の編成表をクリックすると大きく表示されます。
313系は年次ごとに設計仕様が変更されており、3次車以降のクハ312形は、編成両数に関わらず小容量の1kL/minタイプの電動空気圧縮機(CP)を搭載するようになりました。
これは中間車にも同タイプのCPを分散搭載して容量を確保したためで、オールロングシートの313系2300・2350・2500・2600番代(シスW・T・N編成)については共通のT’c車としてクハ312形2300番代(T’c2)が連結されました。
そのため、313系2600番代のシスN編成は クハ312-2327〜2336 を連結しています。
313系はオールロングシート車を2X00番代として区分し、0.5Mシステムの3両編成の電動車に500番をプラスしています。
東海道本線静岡地区用としてロングシート車の3両編成の2500番代(シスT編成)が投入されましたが、勾配区間を擁する御殿場線や身延線では回生失効が起きやすいため発電ブレーキを備えた2600番代(シスN編成)も投入されました。
基本仕様は2500番代とまったく同じですが、発電ブレーキ関連機器としてIGBTを適用したブレーキチョッパ装置(C-HS70B)を車両番号標記の下部付近に搭載しており、後位台車付近にブレーキ抵抗器を搭載しています。
たまたま、FUJIFILM GFX100S II の評価のために御殿場線で運用されていた313系2600番代を撮影しましたが、この光景が見られたのは3月13日まででした。
今回のダイヤ改正で315系が御殿場線で本格運用を開始したため、313系2600番代は沼津駅で気軽に撮れない番代区分となってしまいました。
撮れるうちに撮っておくことの大切さをあらためて感じますね〜
























