臨時列車で小倉総車セに送り込まれた“いさぶろう・しんぺい”色の キハ47 9082
昨日(10/4)、JR九州のデザイン&ストーリー列車(D&S列車)の一つ、「いさぶろう」「しんぺい」の キハ47 8159・9082 の2両が団体臨時列車として博多〜小倉総合車両センター間で片道運転されました。
この臨時列車はJR九州が企画した“小倉総合車両センター乗り入れツアー”によるもので、今回のラストランで“いさぶろう・しんぺい”専用車の2両は営業運転を終了しました。
今後、来年(2024年)3月から久大本線(博多~由布院〜別府間)で運行する新たなD&S列車用のグリーン車に改造され、真ん中の2号車に キハ125-24 改造のラウンジカーを組み込んで3両編成となる模様です。
“2nd-train”によると既に キハ125-24 は小倉総合車両センターに回送されているようなので、これからIFOO(イフー)デザインの新たな車両への改造工事が始まるのでしょう。
こんどはどのようなデザインになるのか楽しみですね〜
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“いさぶろう・しんぺい”仕様に改造されたキハ40系の3両は一通り撮影していましたが、キハ47 9082 だけ未発表のまま放置となっていたので、今回改めてレタッチし直してアップしたいと思います。
約7年前に普通列車「しんぺい2号」として運転されていたときに撮影した キハ47 9082(熊クマ)です。
キハ47 9082(熊クマ) 2016年12月21日 大畑駅
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これで「いさぶろう」「しんぺい」用のキハ40系3両すべての掲載が完了したので、同列車の歴史を車両側から簡単に振り返ってみたいと思います。
1996(平成8)年3月ダイヤ改正で、肥薩線人吉〜吉松間を結ぶ普通列車のうち1往復に簡易お座敷化したキハ31形を充当し、普通列車ながら下り列車に「いさぶろう」、上り列車に「しんぺい」と命名したのが始まりです。
この時点では人吉鉄道事業部(熊ヒト)でのローカルな取り組みでしたが、九州新幹線新八代〜鹿児島中央間で部分開業する2004(平成16)年3月ダイヤ改正に合わせて観光列車然とした展望スペース付きの専用車両 キハ140 2125 を投入。
キハ140 2125(熊クマ) 2016年12月21日 大畑駅(再掲)
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「いさぶろう」「しんぺい」は普通列車ながらも指定席の設定のあるD&S列車へと大きく変貌しました。
改造工事により、種車 キハ140 2125 の客室をレトロな感じにリニューアルし、客室のクロスシートを木製のベンチ風に変更、客室中央部の側窓を上下方向に拡大するなど、同時期に登場した観光特急「はやとの風」に通じる内装に変わりました。
キハ140 2125 の客室
車体塗色は、九州新幹線800系の帯色やキハ183系「ゆふDX」の外装色と同じ“古代漆色”とし、車体各所に「はやとの風」と同様のデザインの列車愛称名ロゴマークが入れられました。
キハ140 2125 の展望スペース
このときは キハ140 2125 の1両編成で、人吉〜吉松間を結ぶ毎日運転の1往復のみでした(週末などは臨時列車を1往復増便)。
キハ31形時代と同様に、人吉→吉松の下り列車は「いさぶろう」、吉松→人吉の上り列車は「しんぺい」として運転されました。
何れの列車とも人吉では「九州観光特急」(別府〜熊本〜人吉間)に、吉松では新設の観光特急「はやとの風」にそれぞれ接続するダイヤが設定されたため、九州新幹線から「いさぶろう」または「しんぺい」を利用すれば気軽に大畑のスイッチバックが楽めるようになりました。
「いさぶろう」「しんぺい」の利用者数が増加したことから、2004(平成16)年10月には(今回新たに写真をアップした)キハ47 9082 を追加改造。同年10月9日から2両編成での運行に変更されました。
キハ140 2125 のときは内外装の一新を中心とする改造工事でしたが、第2弾の キハ47 9082 の場合は非力な キハ47 1082 を種車としたため、駆動用機関(エンジン)や変速機など足回りの換装も併施しました。そのため、番号は一般向けのキハ47形と同様に8000をプラスした 9082 に変わりました。
キハ47 9082 の客室
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キハ140 2125 のように展望スペース部分の側窓を大形化しなかったため、窓配置や大きさは原形のままです。
キハ47 9082 の展望スペース
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2009(平成21)年4月に再整備をした58654号機が「SL人吉」(熊本〜人吉間)で営業運転を再開し、SL列車と「いさぶろう」「しんぺい」とを乗り継ぐの利用客が増えたことから、多客期の3両編成化と予備車を確保するために キハ47 8159 が同年7月に追加改造されました。
キハ47 8159(熊クマ) 2020年4月17日 坂本駅(再掲)
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キハ47 9082 のように大形の展望窓は設けていませんが、「はやとの風」編成の キハ47 8092 のように車椅子スペースを3位側に設置、バリアフリー対応の大形トイレを4位側の車端部にそれぞれ設置しました。
2017(平成29)年3月には、肥薩線を走る観光列車(D&S列車)の第3弾としてとして特急「かわせみ やませみ」(熊本〜人吉間)がデビュー。
これにより、両運転台車の キハ140 2125 は「かわせみ やませみ」の増結車または予備車を兼ねることになったため、“古代漆色”の車体色はそのままに、内装の一部を“かわせみ やませみ”仕様へと変更しました。
そして、2020(令和2)年、コロナ禍に突入。
同年7月4日の令和2年7月豪雨により肥薩線八代〜人吉〜吉松間の一部区間が被災したため運休となり、それ以降「いさぶろう」「しんぺい」と「かわせみ やませみ」は運休が続きました。
肥薩線での運行ができなくなったため、同年8月から肥薩線応援企画として「かわせみ やませみ」と「いさぶろう・しんぺい」を併結した臨時列車が週末を中心に門司港〜博多間で運転されました。
2022(令和4)年9月ダイヤ改正での西九州新幹線(武雄温泉〜長崎間)開業に合わせて運転開始するD&S列車の観光特急「ふたつの星 4047」に キハ140 2125 に組み込むことになり、車体色を白色系に改めて“ラウンジ40”(2号車)の キシ140 4047 へと生まれ変わりました。
観光特急「ふたつの星 4047」
同改正で特急「かわせみ やませみ」は運転区間が豊肥本線熊本〜宮地間に変更されたため、「いさぶろう・しんぺい」は小倉総合車両センター内に開設された“鉄道ランド”に直接乗り入れる専用列車などに単独で使用されるようになりました。
今年(2023年)5月、「いさぶろう・しんぺい」の2両を久大本線(博多~由布院〜別府間)で運行する新たなS&D列車用に改造することが発表されました。
結局、「いさぶろう・しんぺい」の キハ47 8159・9082 は被災により長期運休が続く肥薩線には戻らず、大分地区から迎えた キハ125-25 とともに3両編成を組成し、久大本線の新S&D列車として活躍することになりました。
そして、“鉄道ランド”への乗入れ列車でのお役目も8月いっぱいで終了。9月からは813系が担当〜
冒頭に記載した“小倉総合車両センター乗り入れツアー”が改造前のラストランとなりました。
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